助けあいジャパン

January 9, 2013

猫は甘みを感じない


白倉先生からの受け売り。メモランダムとして記録しておこう。彼は日比谷の1年後輩にして、大学の同期(つまり彼は現役)の優秀な耳鼻咽喉科のスペシャリストだ。

ウィキペディアで下調べしてみると、様々な研究が進んでいるらしい。味覚や嗅覚というのはprimitiveな感覚で、定量化定性化が難しく未知の分野がまだ多くあるみたいだ。今回化学療法の影響で、食欲がなくなったり、味覚や嗅覚が変化して苦労した経験から、味覚がいかにQOLに関係するか再認識したのだ。やはり美味しい物を美味しく食べるのは生きていくことの基本。

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味覚には個人差があり、味の好き嫌い(嗜好性)は人によって異なる。味覚の鋭さ、言い換えると味覚の感受性にも個人差がある。味覚の感受性も、嗜好性と同様に、その人の食習慣や経験などによって後天的に変化しうるものだが、それとは別にその人が生まれもった、味覚受容体遺伝子レベルの違いが存在する。


味覚受容体の遺伝子に変異があると、その受容体と反応するリガンドとの結合性(親和性)が変わることがあり、これによって閾値が変わる。例えば、マウスではT1R3の変異によって、甘味の感じ方が系統ごとに異なる。またネコは甘味を感じないことが知られているが、これはT1R2の遺伝子が変異した結果、正しく受容体として発現しなくなっているためだ。またヒトでも、特定の味物質を感じない人がいるということが報告されており、このような現象を「味盲」と呼ぶ。ヒトでは苦味物質の一つであるフェニルチオカルバミド(PTC)に対する味盲が有名で、その受容体であるT2R38の変異によることが判明している。

ふむふむ、様々な因子が関与しているものの、究極的には遺伝子レベルの個体差なんだね。



さらに・・・甘・塩・苦・酸味のほかにうまみセンサーを持っているのが多いのはラテン人、揚子江以南の支那人、日本人とのこと。アングロサクソンや朝鮮人、華北支那人は少ないらしい。これは非常に興味深い。フランス料理、地中海料理、広東料理そして日本料理とそれ以外の地域の料理の味付けをを考えると、なーんとなく判る気がする。やはり旨いもののあるのはこの地域。フレンチの根っこにイタリアン(というか地中海・ギリシャ料理)、中華料理は別格として、我が日本料理は極東で独自に発達したものなのだ。比較文化的に興味深い。

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