助けあいジャパン

September 10, 2011

日輪の遺産

知り合いの方が入院していて、今日の昼にかみさんがお見舞いに来たので、自由が丘のY沢川でランチ。僕は鰻重、かみさんは鰻茶漬け(これも美味だったとのこと)。新鮮な烏賊ソーメンとか、いつもの絶品かぶのお漬け物とか、オーナーが午前中に収穫してきた葡萄とかをサービスして頂き、逆に恐縮してしまった。ごちそうさまでした。

天気のいい土曜の午後、久しぶりに一緒に映画を観ようと言う事になった。なかなか観に行くチャンスがなかった「日輪の遺産」角川映画(浅田次郎さん原作)。グランベリーモールが18時過ぎからしかなかったので、有楽町の角川の直営シネマ館(BICの8階)に行く事にした。時間つぶしにBICでエコの冷蔵庫(今のはもう10年以上使っていて多少ガタがきている)を物色してから、映画館へ。50歳過ぎのカップルだと一人1000円。なんだか得した気分だね/w

「日輪の遺産」。この小説は浅田次郎さん本人にとって、出版社から初めて自由に「何でも書いていい」と言われて書いた小説なんだそうな。初期の頃の浅田次郎作品の中でも僕は好きな小説で、今回映画化されたのを知って、再度小説を読み返してみて、公開を楽しみに待っていたのだ。舞台は太平洋戦争末期、終戦前の5日間のドラマと、それ以後の人たちの話。昔からあるM資金の話を小説的に膨らませて、とても緻密な調査と資料をもとにした時代考察もあって、素晴らしい作品だと思う。

あの時代を必死に生きた人たち、そして死んだ人たち、生き延びた人たちのストーリーが織りなされる。小説の方が時間軸の動かし方が多層的で、稀代のストーリーテラーである浅田さんの力量に僕ら読者は気持ちよくドラマの世界に浸らせ翻弄してくれるのだけれど、この映画はまた別の意味でストーリーを再構成していて、その世界に入り込むことができる。ただなあ、結末がちょっとだけ冗長で説明臭かったかもしれない。ネタばれしてしまうのであまり書かないけれど、小説を読んでいないと、はへっ?という部分もある。

とはいえ、後半30分くらいは僕もかみさんも涙がじゅわっと流れっぱなし。何と言うんだろう、悲しいというよりもの哀しいのだ。日本の将来を託された若者達、あの厳しい時代に翻弄された健気で可憐な少女達、何より「秘密」を抱えながら生き抜いてきた人たちの姿。胸が詰まる。そうか、今書きながら気がついたけれど、あの戦後復興期の親世代の姿とダブって涙が出たんだ。日本人である事の矜持を感じられたというか。震災復興の今年の公開というのも、何か意味があるのかもしれない。すごい悲劇ではあるのだけれど、救いのある結末。ちがうな、救いようもない悲劇なんだけれど、穏やかな気分で結末を知る展開。この辺が監督の力量なんだろう。爽やかな気分で映画館を出た。

映画終了後は、かみさんと二人で久しぶりに銀ブラ(死語<笑)。昼ご飯にあんなに炭水化物を摂ったのに、なぜかパエリアが食べたいというかみさんのリクエストに応えて、銀座びいどろへ。魚介のカルパッチョ、サラダ、ガスパッチョ、マッシュルームのニンニクオーブン焼き、定番のパエリアなど。ここんちのパエリアの香ばしさは素晴らしっ。
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