助けあいジャパン

February 26, 2011

宇宙飛行士選抜試験 The Right Staff


「宇宙飛行士選抜試験」(大鐘良一、小原健右、光文社新書)。帯のタイトルは「究極の“就活”で選ばれる資質とは?」。以前から宇宙飛行士の選抜方法に凄く興味があったのだ。

2008年に10年ぶりに行われたJAXAの宇宙飛行士の選抜試験のドキュメント。963人応募して、書類審査と英語試験で一次選抜で230人、さらに一般教養・専門試験・医学・心理検査二次選抜48人、さらに医学検査と厳しい面接試験で10人までに絞られる。このドキュメントは日本を代表するスーパーエリート達10人の最終選抜までの過程が描かれている。どの人たちも素晴らしい資質をもった人たちなのだが、最終選抜試験は究極のストレスの中で行われる。閉鎖環境適応訓練施設に10人が放り込まれて、プライバシーの極端に制限された空間で過酷な課題が課される。ここまで残った10人は皆すでに卓越したストレス耐性を持っているのだが、それが究極の極限状態で試されるのだ。自分をいかに律するのか?折れない心とは?リーダーシップとは?フォロワーシップとは?閉鎖空間でサバイブするための性格とは?などなど。その後はヒューストンに飛びNASAでの過酷な試験と面接。最終的に誰が選抜されるのか・・・ドキドキしながらストーリーを追った。

向井千秋さんが指摘しているように宇宙飛行士は肉体的にも精神的にもスーパーマンである必要はないらしい。強い精神力とバランス感覚をもった人、つまり「人間力」が試される。最終的に選ばれた3人は全員、素晴らしい人たちだと思う。日本人の代表として立派に仕事をしてくれる人材だ。興味深かったのは、10人全員が皆「すでに、それまでの人生の中で、受験や就職試験で勝ち抜いてきた人たち」ということなのだ。今の若者に蔓延する「根拠のない自分勝手な自信や思い込み」、「将来に対する楽観的な単なる憧れ」だけで、事を成す事は出来ないのだ。自分を信じて努力をした人にしか「明るい未来」はないのだという、明確なメッセージを今小さな子供達に教えたいと思う。さらに、こういう選抜方法を考えて、実際に実施する人たちもスゴいと思った。

今日の午後に開催された、さとなお君たちが企画した慶應のワークショップ・コレクションの「こども選挙」。大成功だったみたいで、よかった。仕事の関係で時間が合わず参加できず残念だった。慶應の学生である末娘もワークショップのスタッフとして参加させていただき、プロ達の仕事を間近でみていい経験をさせてもらったことだろう。よかったね>さとちゃん。
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