助けあいジャパン

February 22, 2011

チャンチキな人たち

内田樹の研究室ブログの一節より

(彼の研究室恒例のゼミ旅行について)
今回のコンセプトは「社員旅行」なので、それでよいのである。
知らぬ同士が小皿叩いてチャンチキおけさなのである。
そういう一期一会的な集団性によって原子化したポストモダン社会を再びゆるやかに再統合したいと私は願っている。

うううむ、この自由な感性と洞察力と、肩の力の抜けたしなやかな表現。
やっぱりスゴすぎますぜ、内田先輩。

それにしても、「チャンチキおけさ」(by 三波春夫)というタームに、僕はぴくんと反応してしまった
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チャンチキおけさ(作詞:門井八郎 作曲:長津義司)

月がわびしい 露地裏の 屋台の酒の ほろにがさ
知らぬ同士が 小皿叩いて チャンチキおけさ
おけさ せつなや やるせなや

ひとり残した あの娘 達者で居てか おふくろは
すまぬすまぬと 詫びて今夜も チャンチキおけさ
おけさ おけさで 身を責める
 
故郷を出る時 もって来た 大きな夢を 盃に
そっと浮かべて もらす溜息 チャンチキおけさ
おけさ 涙で 曇る月
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なんとももの哀しい歌だったんだね。新潟から集団就職とかで上京してきた人が、出世できずにくすぶっていて故郷に残した母親と恋人(?)のことを思って、路地裏の屋台で「見知らぬ同士」で「肩を寄せ合って」、小皿を箸かなんかでチャンチャラたたきながら「(佐渡)おけさ」を歌って憂さを晴らしている状況。まさに昭和の歌だね。この暑苦しいばかりの親密感と切なさ感、さらには他人との距離感と、故郷へのベタで真摯な思い入れ・・・などなど/ 個人的には思い入れできないし好きじゃないけれど、タマラナく懐かしい昭和の感性だなあ。同じ路地裏の屋台でも「猫目地蔵」の世界とは全然「温度」と「湿度」が違うもんね(笑)。

三波春夫といえば、やたらとニコヤかな押しの強いオッサンのイメージで、子供心にちょっとノーサンキュー(No, thank youではなく、日本語で)なイメージの国民的歌手だったけれど、こんな歌を歌っていたんだね。
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